パレス松洲からは徒歩20分少々でしょうか。取材日は2018年1月の中旬、よく晴れた日でした。ここから、少し陸のほうへ。
こちらには、縄文時代後期を中心とした遺跡である、西の浜貝塚があります。
海側から来ると、途中でちょうど今回の取材先であるカフェ ママゴの脇を通ります。
お伺いするのは後にして、看板を横目に見ながら、まずは史跡に行ってみます。
すぐに、高台に囲まれた半円形のひろばに出ます。こちらが国の史跡、西の浜貝塚です。前回立ち寄ったときと違って、雪も溶けています。
史跡の入り口には案内図とインフォメーションが設けられています。
貝塚は「西の浜貝塚公園」としてきれいに整備されていて、往時を偲ぶことのできるはっきりした遺構は残っていません。
少し残念な気もしますが、そのかわりにこの公園は、春には桜やあやめが楽しめる憩いの場となっています(紅葉の穴場でもあります)。
こちらからは土器や土偶、石器のほかに、鹿の角でつくった人形である「角偶」やクジラ類の肋骨でつくった「骨刀」などが出土しています。
縄文時代の史跡ではありますが、以降もこの地域では暮らしが営まれ続けていたことが、平安時代の塩づくりの痕跡などから分かっています。
出土品が常設で展示されている場所はありませんが、松島町教育委員会の米城百合子さんによると、観瀾亭の隣の松島博物館で、夏ごろにこちらの出土品の展示が行われていることが多いそうです。
縄文人の住居は、公園を囲む高台にあったとのこと。高台に登ると、縄文人と同じ視界で松島の海を見ることができます。
正面に、住宅の2階が見えます。実はこちらがまさに、今回お伺いするお店なんです。
カフェ ママゴ
貝塚を出て、さきほど通り過ぎたお店に戻ります。
階段の下に、看板が出ています。カフェ ママゴは、こちらのお宅の2階になります。階段を登ると、そこが店舗の入り口になっています。
住宅の2階、というちょっと珍しいロケーション。代表の石川美幸さんにお話を伺うと、開店の経緯はそもそも東日本大震災にさかのぼるそうです。
かわいらしくディスプレイされたふたつの出窓のあいだの、木製のドアをくぐって入店します。
こちらのお宅は県内の多くの住宅の例にもれず、東日本大震災の際に半壊規模の被害を受けたそうです。
当然修繕が必要となりますが、その際に2階を以前から手掛けたかったカフェに改装した、とのことでした。2011年9月のオープンには、こんな経緯があります。
ドアをくぐって、自然光の流れ込む店内へ。
ゆっくり食事ができて、会話といっしょにお茶やスイーツなんかも楽しみながら長居できるお店。松島に引っ越してきたころから、そんなカフェがあればいいな、と石川さんは思っていたそうです。
主にご近所や近隣地域にお住いの方々に、まさにそんな使い方をしてくれることが多いとのこと。なかにはお店で待ち合わせ、なんてお客さまも。
店内は2つのお部屋に分かれています。取材時、奥のお部屋では女性の来店者が3人、お食事とお茶でゆっくりした時間を過ごされていました。
お食事は日替わりのランチと週替わりのパスタ、そのほかにも国産食材にこだわったいくつものメニューが。レギュラーメニューのオムライスはお子さまにも人気だそうです。
手作りのケーキなど、スイーツも。階段下にディスプレイされていたソフトクリームも楽しめます。
サイフォンで淹れた、まろやかな味のコーヒー(330円)をいただきました。
窓から差し込む午後の陽光が、テーブルの上でカップを浮かび上がらせています。
店内ではさまざまな雑貨が販売されています。どれもハンドメイドとのこと。
最初は知人の依頼でその方が作成した雑貨を販売していたのが、いまでは5人ほどの作家さんから販売の委託を受けたものが店頭に並んでいるそうです。
お店の窓からは、もちろん磯崎の松島湾の眺めが見渡せます。
そのほかに、テラス席もあります。写真はテラス席からの眺めです。 取材したシーズンはちょっと寒かったですが、あたたかい季節にはちょっと贅沢な気分が味わえそうな眺望です。
お店は土日が休日、不定休となる場合もあるとのことで、松島ご来訪の際にお立ち寄りいただくにはちょっと穴場、という感じです。お店にご連絡いただいて、営業状況を確認してからご来訪ください。
ゆっくり、のんびりと島々を眺められるお店だよ。
大昔に思いをはせるのもすてきかも。