円通院の向かいにある、比翼塚。
ここには松島に生まれた女性と、秋田県にかほ市象潟町に生まれた男性のあいだの、鎌倉時代末期の悲恋伝説が刻まれた石碑が建てられています。
石碑のまわりに植えられている数本の紅白の梅は、伝説にちなんで「軒端の梅」と呼ばれています。
この伝説は、700年近い歴史を刻む銘菓「松島こうれん」(パレス松洲のおみやげ処「かもめ屋」でもお求めいただけます)の由緒ともなっています。
比翼塚の敷地の入口左側に植えられた白梅です。
こちらはまだこれから、というタイミングですが、もう咲いている清楚な白い花がいくつかありました。
軒端の梅の姿は通りすがりにでもご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りを。
瑞巌寺の中門をくぐると、本堂を正面にして門の右側に紅梅、左側に白梅が植えられています。これが「臥龍梅」です。
瑞巌寺の臥龍梅は、宮城県の天然記念物に指定されています。
枝の伸ばし方が地を這う龍の姿を思わせる、というのがその名の由来です。
紅梅は取材日時点ではまだほとんど花開いてはいませんでしたが、かわいらしい紅いつぼみをいくつもつけていました。まもなく見ごろを迎えそうです。
本堂に向かって右側の白梅は、まだまだつぼみが固い様子でした。松島へお越しのご予定がおありの方、これから参拝を計画しても、開花に間に合いそうですよ。
と思ったらひと枝だけ、フライングして花を咲かせていました。
1593年の文禄の役の際に、朝鮮に渡った伊達政宗が現地で目にし、気に入って部下に持ち帰らせた梅の木が臥龍梅です。政宗公の隠居後の居城があった仙台市若林区古城2丁目や、仙台市西公園(こちらは明治時代の株分けによるもの)にも現存しています。
ただしそのなかで、政宗公が手づから植えたと伝わるのは、瑞巌寺のこの1対だけです。
初夏のバラ園をはじめとして、折々に色彩豊かな草花の姿が楽しめる円通院にも、梅は植えられています。
山門右側には、背の高い白梅の堂々とした姿が見られます。
山門をくぐって石庭を左手に進み、心字の池と本堂のあいだを歩いていくと、バラ園「白華園西洋の庭」の手前、右側に紅梅の木が植えられています。
こちらもつぼみはふくらんでいましたが、開花はこれから、というところでした。
折々の花々
季節ごとに、松島では多彩に咲く花々を楽しむことができます。
6月はじめから7月にかけては、円通院の薔薇園のバラが見ごろになります。
円通院は伊達政宗の嫡孫・光宗公の菩提寺ですが、その霊廟「三慧殿」の厨子にバラが描かれていることにちなんで、この西洋風の庭園がつくられました。
瑞巌寺の看門前を右に折れてそのまま進むと、右手に蓮池があります。これは瑞巌寺の放生池で、6月頃に蓮が花を咲かせます。
池の中央にある小島には弁財天の祠があって、生えているカエデは秋にはみごとに紅葉します。
寒い季節には、そこここで咲いている椿を見ることができます。写真は瑞巌寺看門前の、椿の生垣です。
松島直秀こけしの図柄は、この椿をモティーフとしています。
梅は桜と違って、その花を1か月弱のあいだ、楽しむことができます。
これから松島へお越しのみなさま、ぜひその姿を愛でに、お立ち寄りください。
どのお花もきれいだよ!
(でも、やちよはセッコクびいきだよ、もちろん)






















