観光にはさまざまなスタイルがありますが、そのひとつとしての「歩く」観光が、すこしずつ注目を集めはじめています。
宮城県内でも宮城オルレ・みちのく潮風トレイルなど、さまざまなコースの整備が進んでいます。
今回は、松島を中心に開催されているウォーキングツアーをご紹介します。
御朱走
御朱走とは、「御朱印」と「ランニング」の2つのことばから生まれた造語です。
このツアーが、松島エリアの寺社をめぐるランニングツアーとして始まったことに由来しています。
代表は松島町在住のヨガインストラクター、鈴木由美子さん。ヨガサークル・シャンティ松島の主宰でもあります。
現在、御朱走はどなたでも気軽に参加できるウォーキングツアーとして、開催回数を重ねています。
今回は、松島町で開催された第105回御朱走ウォーキングツアー「こころ安らぐ霊場松島さんぽ」(ビジター参加費:2,700円)に参加させていただきました。
こころ安らぐ霊場松島さんぽ(2024/6/22)
こちらで主催されるツアーには里山歩きなど、比較的体力を使うトレッキング寄りのものもあるのですが、今回の主旨は「さんぽ」です。
サブタイトルは「松島生まれ・松島育ちの松っ子ayaさんが紹介する不易流行な松島案内」。
集合場所は松島海岸駅でした。
鈴木さん・今回のツアーガイドのayaさんといっしょに、参加者総勢15名でスタートします。
雄島
最初に向かったのは霊場・雄島です。
松島をテーマにした2023年8月放送のNHK「ブラタモリ」でもフィーチャーされました。
悪縁を絶つ「縁切り橋」ともいわれる渡月橋を渡って、入島します。
ガイドのayaさんによる解説を聴きながら、これから島内一周です。
雄島には、故人を供養する板碑や芭蕉をしのぶ俳人たちの句碑がたくさん立っています。
板碑は周辺の海中に3,000ほども沈んでいるといわれ、その昔にはもっと林立していたようです。
島を一周するあいだに、いくつもの切通しや隧道を通過します。
これらは明治天皇行幸にあたって設けられたものだそうです。
雄島の南端、頼賢の碑に隣接するあずまやでひと休み。すずしい屋根の下で、みんなでしばし松島の眺望を楽しみます。
今回の参加者のうちの最年少は、幼稚園に通っている女の子でした。
こちらで主催するツアーでも、内容によってはそれなりに動きやすく、歩きやすいスタイルで参加する必要がありますが、今回はサンダルで参加された方もいたほど。気楽な「さんぽ」です。
比翼塚
天麟院のすぐそばの比翼塚には、松島町と秋田県にかほ市を夫婦町としてつなぐ伝説が伝わります。
ayaさんが紙芝居で解説してくれました。
この伝説は松島こうれんの由来にもつながります。こちらをどうぞ。
新富山
天麟院を出て御水主町を抜け、北東に向かう坂道を登っていきます。
松島の街中からいちばんアクセスのいい展望スポット、新富山に向かう道です。
けっして高い山ではないのですが、ここからは今回のツアーのなかではわりあいトレッキングっぽいセクション、といえなくもありません。
昇りきると、そこには鉄製の展望台と、休憩できるあずまやがあります。
この展望台からは、ほかの場所からはあまり見られない、市街地越しの松島の眺望を楽しめます。
あずまやで参加者がそれぞれ自己紹介をして、おやつをいただいて下山。海辺に戻って、五大堂で解散となりました。
今回の総歩行距離は6キロメートル前後、2時間半ほどの行程でした。
鈴木さんのご先祖である長南和泉守はかつて安房・里見氏に水軍として仕え、里見氏の改易もあって上総から松島湾の浦戸諸島にある寒風沢島に移り、のちに廻船問屋を興したそうです。
自生していたアカマツに加え、防風林として松島にクロマツを植えたのがこの人物だった、という史料が残っています。
海運業を通じて松島の島々と陸地をつなぎ、またほかの地域ともつなぐことをなりわいとしたご先祖の存在は、いまの鈴木さんに大きな影響を与えているとのこと。
より本格的なトレッキングを含め、御朱走ではバリエーション豊かなウォーキングが企画されています。
ご興味をお持ちの向きは、ぜひ一度ご参加を。
歩いてみると、見えてくるものもあるよ!










