松島のバックボーンといえば、まもなく平成の大修理が完了する瑞巌寺。いまからおよそ1,200年前、名僧慈覚大師円仁によって延福寺の名で開創されました。
おなじく円仁によって開かれたのが、岩手県西磐井郡平泉町に位置する2寺。金色堂が有名な中尊寺と、浄土を表現した庭園で名高い毛越寺です。このふたつのお寺は2011年6月に、周辺の遺構とあわせて世界遺産に指定されました。同様に円仁の建立になる山形の立石寺(山寺)を含めて、4つの古寺を巡礼されるかたもいらっしゃいます。
バス「仙台空港・松島・平泉線」
奥州藤原三代の栄華をしのぶ旧跡が数多く残り、義経伝説も語り継がれる平泉。松島を訪れて瑞巌寺に参拝するのにあわせて平泉、特に中尊寺や毛越寺を訪れたいと思われる方も少なくないはず。
とはいえこれらの名刹はけっして近接しているわけではなく、一度に回ろうとするとそれなりにたいへんでした。仙台空港と松島・平泉をつなぎ、気軽に松島と平泉をあわせて訪問できるように開設されたのが、岩手県北バスの「仙台空港・松島・平泉線」です。
今回、こちらに乗せていただきました。
経路
こちらのバスは基本的に、このようなルートをたどります。
仙台空港 ― うみの杜水族館 ― 三井アウトレットパーク仙台港 ― 松島海岸 ― 松島観光物産館 ― 文化観光交流館前 ― 平泉駅前 ― 道の駅平泉 ― 中尊寺(平泉レストハウス前) ― 花巻空港 ― 花巻温泉
ただ、すべての便がこれらのバスのりばぜんぶに停車するわけではありませんので、ご留意を。
各便の停車地につきましては、紹介記事をご確認ください。
起点:仙台空港
路線のスタート地点は仙台空港になりますが、今回は松島海岸駅前から乗車します。
仙台空港前のバスのりばの模様を撮影した写真をいただきましたので、こちらに掲載します。
Photo by courtesy of 岩手県北バス. All rights reserved.
この路線は仙台空港と松島海岸を乗り換えなし・約55分で結びますので、空路で松島までお越しのお客さまには魅力的な交通手段かと思います。また早めの便を利用すれば、うみの杜水族館に立ち寄ってから松島に到着、という旅程を組むことも可能です。
松島海岸駅から出発
今回は松島海岸駅から乗車しました。というわけでこちらの写真は、松島グリーン広場側から国道45号線をはさんで見た、松島交番の裏側です。
建物の左側に、2011年3月11日の津波の到達点を示す緑色のボードが掲げられているのが確認できますでしょうか。
雲間に青空の見えるお天気です。横断歩道を渡って、バスのりばのある松島海岸駅前へ。10時15分発のバスは、定刻通りに到着しました。
松島観光物産館で休憩
乗車しました。出発してすぐに、平泉を終着点とする便は松島観光物産館前のバスのりばで15分ほど停車します。
松島海岸駅前のバスのりばから乗車するとすぐですが、仙台空港のバスのりばから乗車された方は、もう1時間近いバスの旅をされたことになります。
こちらでは15分ほど停車しますので、休憩をとってお手洗いに行ったり、おみやげを購入したりすることができます。
停車中にお願いして、車内を撮影させてもらいました。まだ新しい、きれいなバスです。
ちなみに、パレス松洲にご宿泊、または日帰りでご利用のお客さまにとっての最寄りのバスのりばは、次に停車する松島町文化観光交流館前になります。パレス松洲からは徒歩で5分と少々。
平泉へ
さてここからは、いよいよ松島町を離れ、平泉を目指します。
とはいえこちらの路線は、仙台空港から松島・平泉間を便利に結ぶことに主眼を置いて設置されたバスです。残念ながら、道中の風景はそれほど明媚なものではありません。大郷町を抜け、そのまま東北自動車道を北上します。
東北自動車道を降り、バスはさらに進んで、平泉町に入ります。
こちらの写真はバスの窓から撮影したセブン-イレブンです。単色の看板が見慣れない感じですが、これは画像加工によるものではありませんよ。
平泉町では景観を維持するために、条例によって各店舗の看板の高さや色が制限されています。このために車窓から、見慣れたロゴやマークがちょっとイメージチェンジした姿をいろいろと楽しむことができます。
平泉レストハウス
レストランやフードコート、おみやげ処に平泉の歴史を概観できる「平泉文化史館」を備えた平泉レストハウスは、観光の一大拠点です。
中尊寺からスタートする観光コースをお考えの場合には、こちらを起点とされるのがスマートかと思います。
こちらは、ここまで連れてきてくれたバスが停まった駐車場の奥にある、武蔵坊弁慶立往生旧跡の碑です。
Photo by courtesy of 平泉レストセンター. All rights reserved.
Photo by courtesy of 平泉レストセンター. All rights reserved.
地産地消による岩手の食文化継承・発展を推進するいわて地産地消推進会議によって最高位のいわて地産地消レストラン二つ星に認定されたレストラン「源」と、岩手のブランド豚「白金豚」や地域伝統のもちが気軽に味わえるフードコート「門」。
Photo by courtesy of 平泉レストセンター. All rights reserved.
お話を聞かせていただいた平泉レストセンター 総務企画部の畠山勝彦部長が一押しのメニューが、こちらの「いわて黄金ランチ」(1,800円)。レストラン「源」で食べられる、前沢牛や白金豚をはじめとした岩手県産の美味が凝縮されたスペシャルメニューです。
今回乗車したバスが平泉レストハウスに到着したのは定刻・11時59分。まずは腹ごしらえ、それから観光、みたいなスケジュールも楽しいかと思います。
- 2019年4月1日より時刻表が変更となりました。こちらをご確認ください。
「芭蕉折り返しの碑」の脇に、電動アシストつきの赤いレンタサイクルが並んでいます。こちらを利用すれば、中尊寺までの坂道もらくらく登れます。
ご利用料金は3時間で500円。
こちらのレンタサイクル、平泉駅近くの平泉ゴールドレンタさんで乗り捨てが可能です。ですので、中尊寺~毛越寺を自転車で回って、帰路は平泉駅前から復路のバスを利用する、といった活用ができます。
平泉レストハウスの敷地に入ってすぐ、こちらの建物の1階に事務所があります。レンタサイクルのお申し込みはこちらで。
徒歩や自転車での移動はちょっと、という方は、こちらで案内つきの語り部タクシーを呼んでもらうこともできます。また主要な観光スポットをめぐる巡回バス「るんるん」を利用する、という方法もあります。
またこちらでは、7か国語対応の音声ガイドペンの貸し出しも行っています。
さて、平泉レストハウス前の交差点を渡ると、そこはもう中尊寺参道の入り口です。
表参道、通称「月見坂」をのぼって徒歩で参拝するか、または自転車や語り部タクシーを利用して、向かって右側の舗装されたルートをたどるか。
ここからは直接ご訪問いただいて、ご自身で見て、感じてください。
ちなみに、平泉レストハウスを出発して松島に向かうバスは15時12分発。3時間の観光のあと、パレス松洲最寄りの松島町文化交流会館前に到着するのは16時35分になります。チェックインしてひとやすみしていただくと、ちょうど晩ごはん、当館自慢のお料理をお楽しみいただけるお時間でしょうか。
特に遠方からお越しの観光客の方は、広い東北で効率よく観光スポットを訪れていただくのが難しい場合もあるかと思います。こちらのバスをぜひご活用いただき、みちのくの歴史と文化をご満喫ください。
このバスに乗れば、松島と平泉のどっちも楽しめるよくばりな旅行ができるよ。
飛行機で来たひともらくらく!