松島といえば、「日本三景」ということばを最初に連想する方が多いかと思います。訪れるみなさまが期待されるのは、まずは景勝地としての松島でしょう(パレス松洲も景観自慢の宿です。全客室の窓から、たっぷりご堪能いただけます)。
でも、松島訪問の楽しみはそれだけではありません。歴史を刻む数ある史跡や建造物、そして海産物を中心とした季節ごとの味覚(パレス松洲でもお楽しみいただけますよ)。
今回訪問したのは、そんな海産物を扱うお店です。
パレス松洲から東、磯崎地区に向かいます。瑞巌寺や円通院に向かう場合とは逆の方向になりますね。
以前お伺いしたCafe Lynchへ向かう方角です。
途中、パレス松洲方面を振り返ってみました。
館内よりお客さまにご覧いただいている海と島々は、角度を90度変えると、掲載した写真のような眺望になります。
15分ほど足を進めると、国の史跡である西の浜貝塚があります。一帯は公園になっています。
――なのですが、取材日の前の晩に降った雪のせいで、一面まっしろになっていてよくわかりませんね(取材日は1月の上旬でした)。すみません。
こちらは土器なども出土している、縄文時代後期から晩期を中心とした史跡です。
春からは桜やあやめも楽しめる、地域の人たちに愛される公園でもあります。
寄り道して行き過ぎてしまいました。取材先に引き返します。
今回お伺いした杉原功商店はパレス松洲からは徒歩でも(道草しなければ)10分少々。ちょっとした海辺のお散歩くらいの時間で到着します。
こちらのお店は、創業から35年ほど経つ老舗です。さまざまな海産物の描かれたトタンの看板にも、潮風を長年浴びた風格が感じられます。
こちらの杉原崇社長は、現役の漁師さんです。この日お話をお伺いしたのも、牡蠣の養殖場からお戻りになってすぐのタイミングでした。
お店を始めたのは、店名にも名前が冠されている社長のお父さま。当時はまだなかった、漁業者が消費者に直接海産物を届ける場所をつくりたいとの思いが、開店の契機となったとのことです。
お店の前の生簀です。あわび、あさり、北寄貝、つぶ貝などが販売されています。
お店のある磯崎地区は、観光客の方々の往来が多い方面からは少し離れています。
来客は8割以上がリピーターだそうで、一度知れば何度も来たくなるお店、ということのようです。
店内の生簀では、今が旬の松島の牡蠣が販売されています(この季節にはパレス松洲でもお召し上がりいただいています)。
このほかにも、お店にはこの地域ならではの海産物の加工品などが数多く並んでいます。
杉原社長が手ずから養殖した、松島の牡蠣です。
三陸地域では松島近辺以外でも牡蠣が養殖されており、また地区ごとに養殖に用いられる技術もさまざまです。県内で養殖されている種類はマガキで、本来の旬は10月から半年ほどですが(松島の牡蠣の出荷時期もこの期間です)、独自の技術でこの期間以外に出荷する産地もあります。
松島の牡蠣の養殖期間は1年。いくらか小ぶりですが、こまやかな味わいが特徴です。
杉原社長は冬場は牡蠣の養殖、3月後半から11月まではあなご漁を行われています。季節には、さばいて開いたあなごがお店に並びます。
籠漁によって一緒にとれる蝦蛄や石蟹、はぜなども同時期にお店を飾ります。2017年9月にパレス松洲で開催された満月Ristoranteでは、奥田政行シェフによるディナーにこちらの石蟹が登場しました。
ほかの海産物は、県内近隣の仲間の漁師さんから仕入れていらっしゃるそうで、やっぱり直売ですね。
店頭には、浜焼きのコーナーも併設されています。
「より新鮮な、よりおいしいものを届けたい」
杉原社長が口にされたことばです。鮮度のいい三陸の海産物をすぐに食べられるこちらのコーナーは、その思いが反映されたものとも思えます。
お店にはイートインの設備もあります。
壁には瑞巌寺の起雲軒老大師の揮毫になる「前進松島」の文字が掲げられ、お店を訪れたスポーツ選手やタレントさんのサインや写真もたくさん並んでいます。ぜひ、お店でご確認ください。
浜焼きに合わせるお酒も用意されていますが、お車でご来店の際は、アルコールはお控えくださいね(ノンアルコールのドリンクもあります)。
観光のメインエリアとは方角が違いますので、穴場のような印象がありますが、先に書いたように、パレス松洲からは徒歩でも決して遠くありません。
なお、西から向かうとお店の少し向こう、白い2階建ての建物が目印となるあたりに、専用の駐車場もあります。お車の方はそちらへどうぞ。
専用駐車場
宮城はそもそも食材王国。ここ松島も、品質の高い農作物や海の幸の産地です。杉原社長のことばの端々に、このことを発信していきたい、という強い思いがうかがえました。
小学館の雑誌「サライ」による取材記事にも、その思いがつづられています。
購入した商品は、クール便で発送もしてもらえます。
松島の味覚をこちらからお持ち帰りいただくのも、旅の楽しみのひとかけらではないでしょうか。
ご連絡先
松島の新鮮な海の幸は格別だよ。
パレス松洲で味わうだけじゃなくて、こちらにも足を延ばしてみて!