二八屋物産店は、観光客のみなさまに持ち帰ってもらえる松島発の工芸品を生み出すために、本村直二郎さんが昭和24年に創業したお店です。
以来70年以上にわたって、直二郎さんは工人として「松島直秀こけし」を作り続けてきました。
明るくていつもにこやかだった直二郎さんは今年、2021年4月15日に逝去されました。
お元気だった2017年の冬に取材させていただいた記事は、こちらになります。
2011年に津波で流されたこけし工房。かろうじて救えたこけしを買いに来て、ブータン首相へのお土産にしたのでした。
お礼に来ました。松島です。#FUKKOツイート旅#2020ここは行くべき14都県 pic.twitter.com/q63D3yogIR— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) March 1, 2020
2011年に糸井重里さんと南伸坊さんがブータンを訪問された際に、ブータン首相へのおみやげとして選ばれたのが、直二郎さんのこけしでした。
松島にも東日本大震災の傷跡がまだなまなましく残っていた2011年5月14日に、ほぼ日刊イトイ新聞のスタッフの方が二八屋物産店を訪れ、おみやげを購入していかれました。その時の模様は、こちらに記されています。
多くの方々のお力添えもあって、ほぼ日の記事に掲載された写真に見られる津波の痕跡は、いまはもううかがえません。
取材日の二八屋物産店の写真を掲載します。観瀾亭のはす向かいに、すっきりときれいな佇まいのお店が立っています。
この松島で70年以上の歴史を刻む直秀こけしは、直二郎さんのご子息の本村直偉さん、そしてお孫さんの卓偉さんが引き継ぐこととなりました。
直二郎さんが腕をふるった工房で、いまは卓偉さんが木地挽きを担当しています。
卓偉さんは直二郎さんがまだご存命のうちに、ろくろの扱い方の手ほどきを受けました。
仕上がりの面では直二郎さんのお墨つきですが、製作のスピードや所作、作業音の美しさではまだまだおよばない、と卓偉さん。
イラストレーション関連の業務経験もある創作者気質の卓偉さんですが、これからも修業は続きます。
絵付けを担当する卓偉さんのお父さまの直偉さんは、直二郎さんのはからいもあって幼少時より筆の扱いを学んできました。
直二郎さんの残した資料や動画を手がかりに、まずは伝統のタッチの再現を目指します。
大きいもの、小さいもの。こけしのサイズはさまざまです。
それぞれの大きさに対応しながら絵付けを行うのが難しい、と直偉さんはおっしゃっていました。
メインの素材にこけしとしては珍しい桜材を使うことによる、赤みがかった木肌の風合い。
胴体部分にほどこされた、シーズンには松島のそこここに咲き誇る椿の図柄。
そして、なんともいえず愛らしい表情。
直二郎さんが70年以上を費やして一代でつくりあげた、松島直秀こけしならではの個性です。
魅力あるこの個性を、これからは息子さんとお孫さんがタッグを組んで確立していきます。
なお、こけしの絵付けにお客さま自身がトライできる、以前より好評の「絵付け体験」も、ひきつづき提供中です。
絵付けにチャレンジしたいろんな芸能人の方の作品も展示されていますよ。
松島にお越しの際は、ぜひお立ち寄りを。
ご連絡先
直二郎さんのこけしは、これからも松島で受け継がれるよ!