歴史ある観光地である松島では、おみやげ屋さんも充実しています。
遊覧船の波止場がある松島中央広場に国道45号線をはさんで向かい側になる通称「海岸通り」には、それぞれ違った個性のおみやげ屋さんが軒を並べています。
今回お伺いするのは、そのなかでも松島オリジナルの工芸品を製造・販売しているお店です。
この記事は、直二郎さんがご健在でいらした平成29年に取材したものです。2021年に再取材した記事は、こちらになります。
【2021再取材】松島直秀こけし(二八屋物産店)
パレス松洲から、高城橋を渡って西へ。
ザ・ミュージアムMatsushimaやみちのく伊達政宗歴史館の前を通って、海岸通りに向かいます。
途中、五大堂の近くから見た松島です。
お天気も良くて、写真では暖かそうに見えますが、取材日は12月の中旬。本格的な冬の到来はまだ先とはいえ、冷たい風が吹いています。
観瀾亭から、道路をはさんではす向かい。
こちらにある店舗が、今回お伺いする松島直秀こけし(二八屋物産店)さんになります。交通量が多いので、気を付けて横断歩道を渡ってくださいね。
看板を見れば、なにを扱っているお店なのかひとめでわかります。
こちらは太平洋戦争の終戦直後から、松島でこけしを製造・販売しているお店です。パレス松洲からは徒歩で15分と少々といったところです(お申し付けいただければ、近隣までお送りしますよ)。
お店に入ると、こけしがたくさん並んでいます。
2011年5月に糸井重里さんと南伸坊さんがブータンを訪問した際に、ブータン首相へのおみやげとして持参したのが、こちらで制作されたこけしでした。
おみやげ購入時の模様が、当時のほぼ日刊イトイ新聞の記事に掲載されています。東日本大震災からまもないころの松島の様子も伺える記事です(この記事からリンクされたパレス松洲のページはサイトのリニューアル時に削除されましたが、インターネットアーカイブにちょっとだけ残っています)。
創業は昭和22年。ということは、もう営業70年の老舗ということになります。
70年間、店主で工人の本村直二郎さんが、こけしの制作を続けてきました。
本村さんは御年90歳になりますが、お元気そのもの。熟練の腕はいまも確かです。
キャリア70年のベテランならではの手さばきで、あざやかにこけしを制作する姿を、写真に撮らせてもらいました。
大きく分けて2種類の木肌のこけしが並んでいます。色白のこけしは一般的にもよく用いられるミズキが、濃い紅褐色のほうは山桜が素材です。
山桜は伝統こけしではあまり用いられない素材で、独特の色合いは松島直秀こけしならではの個性にもなっています。
お店では近代的な創作こけしも販売しています。
こけしの名産地である遠刈田にほど近い、白石市方面の工人に実際の制作を依頼しているとのことで、これらも本村さんプロデュースのアイテムです。
地域ごと、系統ごとに異なる意匠が、こけしの魅力のひとつ。
本村さんが松島のこけしのために選んだ絵柄は、椿の花でした。シーズンには町内のそこここで咲き誇り、松島のまちを赤く彩ります。
限定品の、ケヤキのこけしもありました。
2016年10月に残念ながら倒れてしまった、樹齢800年といわれた観瀾亭わきの大ケヤキを素材に作られています。
こちらも人気なのが、こけしの絵付け体験(800円)。本村さんに教わりながら、自分の手でこけしに絵付けをすることができます。
年に3,000人から4,000人の方が、オリジナルのこけしにチャレンジされるとか。
写真は掲載しませんが、店内にはこちらを訪れた芸能人の方々が絵付けしたこけしも数多く飾られています。
実際にご訪問いただいた際に、ご覧ください。
こけしを愛好する方々は、地域や系統、工人によってそれぞれ違った個性が表れるところに魅力を感じる、とおっしゃいます。
松島の思い出といっしょに連れ帰っていただくのに、やさしく素朴な表情をして椿の衣をまとったこけしは、ぴったりなのではないでしょうか。
パレス松洲に戻ってみると、エントランス脇の寒椿の木が花をつけていました。
ご連絡先
かわいらしいこけしは、おみやげにぴったり。
松島の思い出といっしょに、連れてかえってあげて!