松島へはじめてお越しの方は、他にない眺望に感銘を受けるとともに、街のたたずまいなどに不思議な懐かしさを感じられることも多いかと思います。
千年を超える時間のあいだ、この地域の風物を愛で続けた多くの日本人の思いが、街のちょっとした片隅にも染み渡っているからなのかも、みたいに感じることもあります。
ただ、本日お伺いするのは、それとはまた違った「懐かしさ」をわたしたちに感じさせてくれるお店です。
取材日は11月末。
雲は多いですが、この季節の宮城としてはあたたかい日でした。
取材先に向かう前に、奥松島パークラインに面した入口側からパレス松洲の建物を撮影してみました。
午前中はおひさまは東側にあるので、正面の方向から撮影すると、掲載した写真のように逆光になります。
パレス松洲前の道をそのまままっすぐ北東に進むと、T字路に突き当たります。
ここを右折すると、道は以前お伺いしたカフェ & バー LYNCHのある磯崎方面に続きます。
この日は左に曲がって、そのまま道なりに歩いていきます。
少し進むと信号があるので、右に。
パレス松洲を出発してから15分弱くらいでしょうか。今回の取材先の「だがしや こどもきち」さんに到着しました。
カラフルな水玉柄の看板が立っています。
(実はこの日は午後からの営業でした。取材は午前中だったのですが、撮影のためにわざわざ看板を出してくださいました)
軒下に、別の店名がしるされているのがご覧いただけると思います。こちらは実は、水まわりの施工を中心に松島で40年以上営業されている、松島住宅設備株式会社の店舗なんです。
店内に入れていただくと、カウンターの上や壁の棚にカラフルな駄菓子がぎっしり。
おとなには写真撮影もちょっと難しいくらいの広さですが、駄菓子屋さんの本来のお客さまであるこどもたちにとっては、充実した空間といえそうです。
並べられた駄菓子を見せてもらいます。
カルメ焼や小粒のパックもち、シガレットチョコレートなどなど。
おとなにとってはちいさいころの思い出がよみがえるような駄菓子のあいだに、見慣れないものも並んでいます。
駄菓子も時代を反映して、さまざまな新商品が登場しているようです。
常務の遠藤奈緒美さんに、お話を伺いました。
こちらのお店があるのは松島町内でも観光エリアではなく、市街地です。
この近辺に昔はいくつかあった、こども向けの駄菓子屋が姿を消していったこともあって、こどもたちの立ち寄れる交流の場として、こちらの遠藤勉社長が2016年の6月に始められた、とのことでした。
「こどもきち」はもちろん、「こどもの基地」です。駄菓子屋が並んでいる場所には、もともと水回り設備を展示していたそうです。
こちらのお店が駄菓子屋として営業されているのは、週に3日ほど。近隣の小学生の下校時間に合わせて、平日は午後2時ごろより開店しています。
その週の開店日は、前の週にお店のFacebookページやtwitterで告知されます。土曜日にはおおむね、午前10時ごろより営業しているそうです。
ラムネなどの入った冷蔵ショーケースの横には、こどもたちとの「おやくそく」の掲示があります。平日には、おこづかいをやりくりして駄菓子を買う地元のこどもたちの笑顔がみられるそうです。
こどもたちのなかには、東日本大震災後にこちらに住居を移した子たちの姿もあるとのこと。
お会いできませんでしたが、事務所には松島生まれ・松島育ちである遠藤勉社長の写真がありました。こちらは、2017年7月22日から9月10日まで石巻を中心に開催されたReborn-Art Festivalで行われた、インサイドアウト・プロジェクトの素材として撮影されたものですね。
(このときにはパレス松洲もイベントのひとつ、満月Ristoranteの会場となりました)
土曜日には、近隣以外の地域から足を運ぶお客さまも多いとのこと。観光客の方が見えられることも多いようです。
お孫さんに、ということで駄菓子をおとな買いされる年配の方などもいらっしゃるそうです。
こちらのお店には来客用の駐車場はありませんが、土曜日には近隣の七十七銀行の駐車場を利用させていただけるとのことなので、お車でも安心です。
色とりどりの駄菓子が並ぶ店先はこどもたちはもちろん、おとなでも心が浮き立つ場所です。
観光のあいまにお立ち寄りいただくのも、松島のちょっと変わった楽しみ方といえそうです。
懐かしさを楽しんでお戻りになったら、パレス松洲の客室の窓からはこんな眺望がお待ちしています。
(すみません。こちらの写真だけ、取材日とは別の日に撮影したものです)
だがしって、わくわくするよね。
あ、やちよはおこさまじゃないよ!